「OK!」出たのにカップインするのはマナー違反!? 微妙な距離やラインが残ったときの“辞退”はアリ?
「外す可能性もあるけど打たなくていいのかな?」
アマチュアゴルファーがプレー中に戸惑うことの一つに、ショートパットの「OK」があります。シャフトメーカーの(株)グラファファイトデザインが今年1000人のアマチュアを対象に行ったアンケート調査でも、パットのOKに関する項目がゴルファー“あるある”に挙げられています。

アプローチやパットで打ったボールがカップのごく近くに寄った。これなら次のパットはカップインするとみなしていいだろう。そう感じた同伴者がOKを出すのが多くの場合ですが、それには距離やラインなどについて明確な基準がありません。
一般的にパットをOKにする距離は1グリップといわれます。数字にすると約30センチですが、30センチ定規を床に置いてみると分かるように、1グリップはイメージよりかなり短いもの。実際のラウンドではそれより長い距離や微妙なラインをOKにしているケースも少なくありません。微妙な距離やラインが残ったときなどで、「OK」と言われたものの「外す可能性もあるけど打たなくていいのかな?」と戸惑う人もいるでしょう。
例えば、次のようなシーンを思い描いてみてください。
(A)グリーン周りでザックリ、トップとミスが続いた後の難しい下りのアプローチ。ショートかと思われた打球はどんどん転がり、カップの約30センチ手前で止まった。
(B)傾斜のきついグリーン。下からの長いパットを大ショート。セカンドパットの距離感はぴったりかと思われたが、ボールが逸れてカップの40~50センチ横に止まった。
どちらのケースも同伴者の一人が「ナイスタッチ! OKです」と声をかけてくれたとして、OKを受けた側は対処に迷うのではないでしょうか。
もしOKがなかったら……(A)は下りの30センチのパットを打ってオーバーさせ、さらに何打かかかる可能性があります。(B)はサイドからのラインを外して4パットにすることもあり得ます。
アマチュアのプレーにOKを取り入れることは、プレーの進行やレベルアップにどう影響するのでしょうか。OKに戸惑ったらどう対処するのがベターなのでしょうか。一緒に考えてくれたのは、湘南を中心に運営しているゴルフスクールが大好評のカリスマプロ、南澤聡さんです。
「私はアマチュアの方の“1グリップOK”を肯定的に捉えています。短いパットをみんなが最後まで行うとスロープレーにつながりやすいから、というのが一番の理由です。ただこれは各人のゴルフスタイルに関わることですし、こうしなければならないという決まりもありません」
「例えば競技志向の人。プロでもアマチュアでも、競技は完全ホールアウトで行われ、スコアを争います。『競技に出場した経験がある』『競技出場を目指している』そういう人にとって、普段のラウンドでもショートパットは大切な1打だと思います。同伴者がOKを出しても出さなくてもホールアウトするでしょうし、スロープレーにならなければ問題はありません」
「それに対して、大半の人はできるだけいいスコアで回りたいけれど、それ以上に仲間とコミュニケーションをとりながらプレーファストのゴルフを楽しむことを大切に考えているでしょう。状況にもよりますが、短いパットをOKにするとストレスが少なく楽しく回れると思います」