平らに見えて、細かな傾斜が存在する
ティーイングエリアは、前方に設置された2つのティーマーカーを結ぶラインより後方の2クラブレングス(一般的にはその人が持っているドライバー2本分/最大2.43メートル)以内にボールをセッティングすることが義務付けられています。これに違反すると2打のペナルティーが課せられます。

裏を返すと、エリア内であればどこにでもティーを刺せるということになります。初心者の方などは、ティーアップする位置にこだわりのない人が多いかもしれませんが、場所によってはミスショットの原因になることもあるので注意が必要です。レッスンプロの山本昌夫氏は以下のように話します。
「ティーイングエリアはどこも平らだと思っている人も少なくないですが、実は雨で水たまりができるのを防止するため、意図的に傾斜がつけられていることが多いです。つまり、適当にティーを刺してしまうと、足元に傾斜のある場所からティーショットを打つことになる可能性があるわけです。練習場では常に平らな場所でボールを打っていますので、それと同じ感覚で傾斜の上からショットしてしまうと、思わぬミスが出てしまいます。そのため、打つ前にティーイングエリアをチェックして、できるだけ平な位置にティーを刺すことが大切です」
また、多くのティーイングエリアは、砲台状につくられています。全体が平坦になっているわけではなく、先端に近い部分は下傾斜になっていることも多いです。ティーイングエリアの前方にティーマーカーが設置されている時に、前方ギリギリの位置にティーアップしてしまうと、左足下がりの傾斜になってしまいます。そのため、状況によってはティーマーカーの位置から1~2ヤードほど下がった場所の方が、平らなライでバランスの良いアドレスが取れて、ナイスショットの確率が高くなるでしょう。
芝の長さや目もしっかりチェックしよう
ほかにも、ティーを刺した場所がどのような状況になっているか、しっかりチェックする必要があると山本氏は話します。
「局所的に芝が長く伸びていたり、芝目がターゲット方向と逆目に生えているなど、ライ(ボールの置かれた状況)が悪い位置もできる限り避けるのがベストです。しかし、ゴルフ場によってはティーアップできる範囲が全て悪いライであることもありますので、そういう時はドライバーのヘッドで芝を軽く押すなど、人為的に調整することも大切です。ショット前であれば、まだボールがインプレーの状態にはないため、こういった行為が可能なのです。ティーショット後は、ライの改善に当たる行動には2打のペナルティが課せられますので、注意してください」
2023年版のゴルフ規則では、規則6.2b(3)「ティーイングエリアの特定の状態は改善することができる」や規則8.1b(8)ティーイングエリアで:「地面を変える、砂や土を取り除いたり押し付ける、または露、霜、水を取り除く」行為は認められると定められています。つまり、ティーショットを打った瞬間からインプレーになってしまいますが、その前であればプレーヤーは打つ環境を人為的に改善しても良いと公式で認められているわけです。
そのホールをどのくらいのスコアで終わらせられるかどうかは、ティーショットの段階で大半が決まっているといっても過言ではないでしょう。そのため、事前に各ホールの特徴を読み取り、ティーイングエリアのどこから打とうかイメージしてみるのも良いかもしれません。