ボギーがあったにも関わらず、最後まで諦めずに頑張った姿には本当に敬意を表したいです。
<ダイキンオーキッドレディス 最終日>
◇3日
◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)
◇6595ヤード・パー72
「ホッとしました」。単独首位で迎えた最終日にボギーなしの5バーディ「67」をマークした岩井千怜が、開幕戦で通算5勝目を飾った。
今週の意気込みで「バーディをたくさん獲って元気を届けたい」と言っていた岩井だが、この4日間で1イーグルと22バーディを獲得。“有言実行”となる勝利に多くのギャラリーが惜しみない拍手を送った。
ウィニングパットを沈めたあとは、ガッツポーズを繰り出し、ギャラリーに向けて満面の笑みで手を振る姿があった。「やったぞ! みたいな感じで。応援してくれた人に対してありがとうっていう気持ちもありますし、パワーをあげられたらいいな」という思いが込められていた。だが、この優勝は決してラクなものではなかった。
西郷真央が出だし1番でバーディを奪い、1ホール目でスコアが並んだ。2番で岩井がスコアを1つ伸ばすと、3番でまたもや西郷がバーディを奪取するなど激闘の前半となった。勝負の分かれ目となったのが、前日に岩井がダブルボギーとしていた15番パー4だった。
「多分、何かが動き出すだろうな」と不安を抱えた状態で15番のティに立った。「そこまではずっと気持ちを切らさずに、15番からはいままで以上に気持ちを冷静に強く持つことを意識してました」とパーセーブ。西郷がボギーを喫したことで、リードが2打に広がった。その後は17番でバーディを獲り、盤石なゴルフで逃げ切りVを果たした。
メンタル勝負の18ホールを制し、「辛かったですね…」と表情には疲労感がにじむ。緊張の糸が切れた優勝スピーチでは、目に涙を浮かべていた。「あまり一騎打ちでやったことがなかったので、どうなるんだろうっていう楽しみもありました。自分のゴルフ、リズムで行けたことがキーでしたし、気持ちだけは切らさずに、絶対に勝つという思いでやっていた」。持ち前の闘争心に加えて、気持ちを最後まで切らさない集中力が勝利の要因だった。
今季の目標は「複数回優勝」。
最高のスタートダッシュを切った21歳のさらなる飛躍が楽しみだ。
(文・高木彩音)