マラソンや長距離ランニングで脇の擦れに悩むランナーは多い。手軽に入手できるワセリンを塗ってみたものの、走っているうちに擦れてしまい、「ワセリンでは効果がない」と感じている人も少なくない。しかし、海外のランニングフォーラムやレビューを見ると、ワセリンそのものが無効なのではなく、塗り方やレース中の持続性に問題があるケースが目立つ。実際、RunningAHEADのフォーラムでは「Body Glideを3.5マイル走っただけで擦れができた」という声がある一方、同じ製品でも「自分には効く」という意見もあり、塗り方や個人の汗の量、ウェアとの相性が結果を左右していることがうかがえる。
ワセリンは皮膚表面に油膜を作り、摩擦を軽減するが、汗や水で流れやすく、長時間のレースでは効果が薄れやすい。また、塗る量が少なすぎたり、擦れやすい部分にしっかり塗り込めていなかったりすると、期待した効果が得られない。さらに、ワセリンは衣類に付着すると落ちにくく、ウェアの素材によってはかえって擦れを悪化させることもある。
この記事では、ワセリンで脇擦れが防げない理由を掘り下げ、レース前に実践すべき正しい塗り方、そしてワセリン以外の選択肢としてBody Glideなどの専用製品の特徴を比較しながら、脇擦れを根本的に防ぐ方法を解説する。
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ワセリンが脇擦れに効かないと感じる3つの原因
汗や水で流れてしまう
ワセリンは油性のため、水には強いと思われがちだが、大量の汗をかくマラソンでは皮脂や汗と混ざり合い、徐々に流れ落ちてしまう。特に脇は汗腺が多く、常に湿った状態になるため、ワセリンの膜が持続しにくい。レース後半に擦れが出るのは、スタート前に塗ったワセリンがすでに流れてしまっているからだ。
塗る量が少なすぎる、または塗り方が均一でない
ワセリンを薄く伸ばすだけでは、十分な滑りを生み出せない。擦れが起きる部分は、腕の振りによって皮膚とウェアが繰り返しこすれるため、点ではなく面で保護する必要がある。指で適当に塗ると、ムラができやすく、擦れやすい部分に十分な厚みが確保できない。海外の掲示板でも「ワセリンをケチらずにたっぷり塗るべき」というアドバイスが散見される。
ウェアの素材やフィットとの相性が悪い
ワセリンは綿などの天然素材にはなじみやすいが、速乾性の高いポリエステルやナイロン製のランニングウェアでは、油分が繊維に残り、洗濯しても落ちにくい。また、ウェアが濡れるとワセリンが繊維に移行し、皮膚表面の保護膜が薄くなる。さらに、ワセリンの油分がウェアの通気性を阻害し、蒸れや肌荒れを引き起こすこともある。
レース前の正しいワセリンの塗り方
塗る前に肌を清潔にし、完全に乾かす
汗や皮脂が残った状態でワセリンを塗ると、密着度が下がり、流れやすくなる。レース前にシャワーを浴びるか、濡れタオルで脇を拭き、しっかり乾燥させてから塗るのが基本だ。
塗る範囲は「擦れる部分+周囲3cm」を目安に
擦れが起きるのは脇のくぼみだけでなく、腕の付け根や胸郭の側面まで及ぶことがある。実際に、ランニングフォーラムでは「脇だけでなく、二の腕の内側やブラのラインまで塗る」という体験談が共有されている。鏡で自分の腕の動きを確認し、擦れそうな範囲を広めにカバーしよう。
ワセリンは「指で温めてから」「厚めに」「叩き込むように」塗る
ワセリンは固形に近いため、指に取って体温で柔らかくしてから塗ると伸びが良くなる。擦れやすい部分には、薄く伸ばすのではなく、指の腹で軽く叩き込むようにして厚めの層を作る。このとき、皮膚を引っ張らず、優しく密着させるのがコツだ。
塗った後はティッシュオフしすぎない
余分なワセリンを軽くティッシュで押さえるのは構わないが、拭き取りすぎると必要な油分まで除去してしまう。表面がべたつかなくなる程度に抑え、保護膜を残すことが大切だ。
レース中の塗り直しを想定しておく
フルマラソンの場合、スタート前に塗ったワセリンが最後までもつとは限らない。特に気温が高く発汗量が多い日は、20km過ぎから効果が切れる可能性がある。小さな容器にワセリンを詰め替えて携行するか、エイドで塗り直せるように準備しておくと安心だ。ただし、手が滑りやすくなるため、塗った後は給水所の水で手を洗うか、携帯用のウェットティッシュを使うと良い。
Body Glideとワセリンの違い:専用品が選ばれる理由
Body Glideは、ランナーの間で定番の擦れ防止スティックだ。公式サイトによると、ヤシ油やアーモンド油を配合し、透明でさらっとしたバームが肌に滑りを与え、汗や水に強いバリアを形成する。ワセリンとの違いを表で比較する。
| 比較項目 | ワセリン | Body Glide |
|———-|———-|————|
| 主成分 | ペトロラタム(鉱物油) | 植物由来の油(ヤシ油、アーモンド油など) |
| テクスチャー | 油性でべたつく | さらっとしたバーム状 |
| 持続性 | 汗で流れやすい | 汗や水に強く、長時間持続 |
| 衣類への影響 | 油染みが残りやすい | 比較的落としやすい(ただし公式確認が必要) |
| 塗りやすさ | 指で塗るため手が汚れる | スティックタイプで手を汚さず直塗り可能 |
| 価格(参考) | ドラッグストアで数百円 | 公式通販で1,500円前後(要確認) |
Body Glideのスティックタイプは、手を汚さずに必要な部分に直接塗れるため、レース前の準備が手軽だ。また、フォーラムでは「Body Glideに変えてから擦れがなくなった」「臭いが少なく、衣類への色移りも気にならない」という声がある。一方で、「最近のBody Glideは以前より効果が落ちた気がする」「臭いが強くなった」という意見もあり、個人の感じ方や使用環境によって評価が分かれる。公式サイトでは、女性向けの「For Her」や足用の「Foot Glide」も展開しており、擦れる部位に応じて選べる。
ワセリンでも効果を高めるための工夫
ワセリンの上からパウダーをはたく
ワセリンを塗った後、ベビーパウダーや制汗パウダーを軽くはたくと、表面のべたつきが抑えられ、汗を吸収しやすくなる。ただし、パウダーが固まって逆に摩擦を生むこともあるため、薄く均一にのせる必要がある。
ワセリンとシリコンベースのジェルを混ぜる
シリコンベースの潤滑剤(医療用や水泳用の擦れ防止ジェル)を少量混ぜると、ワセリンの持続性が向上する場合がある。ただし、肌に合わない成分が含まれている可能性があるため、事前にパッチテストを行うことが推奨される。
テーピングと併用する
擦れが特にひどい部分には、先にワセリンを塗り、その上から柔らかい布テープやキネシオロジーテープを貼る方法もある。テープが直接皮膚に貼られることで摩擦が軽減され、ワセリンがテープの粘着を和らげる役割を果たす。ただし、テープが剥がれると逆効果になるため、端がめくれないように注意が必要だ。
脇擦れを防ぐためのウェア選びとケア
シームレス設計のウェアを選ぶ
脇擦れの大きな原因は、ウェアの縫い目が肌に当たることだ。特にタンクトップの縁や袖ぐりの縫い目が硬いと、何万歩もの腕振りで擦れが起きる。シームレス(継ぎ目なし)加工やフラットシーマー縫製のウェアを選ぶだけで、擦れのリスクが大幅に減る。
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サイズが合っているか見直す
ウェアが大きすぎると生地が余って擦れやすくなり、小さすぎると締め付けで摩擦が強まる。試着時に腕を大きく振り、脇に食い込まないか確認しよう。特に女性用のスポーツブラは、アンダーバンドが脇に当たらないデザインを選ぶことが重要だ。
レース当日は使い古したウェアを避ける
洗濯を繰り返したウェアは繊維が硬化し、肌当たりが悪くなっていることがある。レース当日は、適度に柔らかく、かつ擦れの経験がないウェアを選ぶのが無難だ。また、新しいウェアをレースでいきなり使うのも避け、事前に短い距離で試走しておくべきだ。
ワセリン以外の擦れ防止アイテム:選択肢と選び方
Body Glide(ボディグライド)
前述の通り、ランナーに最も支持されているスティックタイプの保護バーム。公式サイトでは、オリジナルの他に、女性用、足用、日焼け止め配合タイプなどがラインナップされている。Amazonのレビューでは「マラソンで初めて擦れなかった」「塗り直し不要だった」という高評価がある一方、「真夏のウルトラマラソンでは効果が切れた」という報告もあり、使用環境によって限界はある。
2Toms SportShield(スポーツシールド)
シリコンベースのロールオンタイプで、フォーラムではBody Glideの代替としてよく名前が挙がる。乾燥が早く、べたつかないのが特徴。ただし、ロールオンは残量がわかりにくいという指摘もある。
ヴァセリン(ワセリン)
日本で最も手軽な選択肢。無香料・無着色で敏感肌にも使いやすいが、前述の通り持続性に課題がある。短距離の練習や、擦れが軽度な人にはコストパフォーマンスが良い。
クリームタイプの擦れ防止剤
自転車用のシャモアクリームや、ベビー用のおむつかぶれ防止クリームを代用するランナーもいる。これらは保湿成分が多く、肌への負担が少ないが、油分が多いとウェアを傷める可能性がある。
選ぶ際のポイント
走行距離と発汗量:ハーフマラソン以上なら、持続性の高い専用品が安心。
肌質:敏感肌の人は、ワセリンや植物由来成分の製品を選び、事前にパッチテストを行う。
塗りやすさ:レースの朝に手早く塗れるスティックタイプが便利。
ウェアへの影響:白いウェアを着る場合は、油染みのリスクが少ない製品を選ぶ。
向いている人・向いていない人
ワセリンが向いている人
練習での短距離(10km未満)の擦れ防止に使いたい
とにかくコストを抑えたい
肌が強く、油分でトラブルを起こしたことがない
擦れが軽度で、脇以外にも広範囲に塗りたい
ワセリンが向いていない人
フルマラソンやウルトラマラソンに出場する
汗かきで、レース中に何度も塗り直す余裕がない
高機能ウェアを着用し、油染みを避けたい
過去にワセリンで擦れを防げなかった経験がある
Body Glideが向いている人
レース本番で確実に擦れを防ぎたい
手を汚さずに素早く塗りたい
汗や水に強い製品を求めている
衣類への色移りや臭いが気になる
Body Glideが向いていない人
植物由来成分にアレルギーがある(公式成分表の確認が必要)
極端に肌が敏感で、新しい製品に不安がある
予算を抑えたい(ワセリンより高価なため)
買う前の確認事項
成分表を確認する:Body Glideは公式サイトに成分が掲載されている。アレルギー体質の人は、購入前に必ずチェックしよう。
テスターがあれば試す:スポーツ用品店によってはテスターを置いている場合がある。肌に合うか、テクスチャーを確認してから購入すると失敗が少ない。
サイズ展開を確認する:Body Glideには携帯に便利なミニサイズもある。レース用と練習用で使い分けると経済的だ。
保管方法に注意する:高温の場所に置くとバームが柔らかくなりすぎたり、溶けたりすることがある。夏場は直射日光を避けて保管する。
使用期限を確認する:開封後は酸化や雑菌の繁殖が進むため、古い製品は効果が落ちる可能性がある。シーズンごとに買い替えるのが安全だ。
よくある質問
ワセリンを塗っても脇が擦れるのはなぜ?
汗や水で流れてしまう、塗る量が不足している、ウェアの縫い目が直接当たっているなどの原因が考えられます。塗り方を工夫し、それでも改善しない場合は、専用の擦れ防止剤やウェアの見直しを検討しましょう。
Body Glideとワセリンは併用できますか?
併用自体は可能ですが、成分が混ざることで肌トラブルを起こすリスクがあります。また、効果が倍増するわけではないため、どちらか一方を選ぶのが無難です。
ワセリンはウェアに染みますか?
油性のため、ポリエステルなどの化学繊維に染み込むと落ちにくくなります。特に白いウェアは黄ばみの原因になることがあるため、注意が必要です。
レース中に塗り直すタイミングは?
発汗量や距離によりますが、ハーフマラソンなら中間点、フルマラソンなら20kmと30km地点が目安です。ただし、手が滑りやすくなるため、給水所の水で手を洗うか、ウェットティッシュを携行すると良いでしょう。
敏感肌でも使える擦れ防止アイテムは?
ワセリンは無香料・無着色で刺激が少ないため、敏感肌に適しています。Body Glideも植物由来成分が中心ですが、心配な場合はパッチテストを行ってから使用してください。
擦れがひどくて血が出た場合の対処法は?
すぐに走るのを中止し、患部を清潔に洗って消毒しましょう。傷口には擦れ防止剤を塗らず、ワセリンや抗生物質軟膏で保護し、医療機関を受診することをおすすめします。
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まとめ:ワセリンでも工夫次第で効果は上がるが、レース本番は専用品が安心
ワセリンで脇擦れが防げないのは、製品の欠陥ではなく、塗り方や使用環境に起因することがほとんどだ。正しい塗り方を実践し、レース中の塗り直しを計画すれば、ワセリンでも一定の効果は期待できる。しかし、フルマラソンのような過酷な条件では、持続性や利便性に優れたBody Glideなどの専用品に分がある。
どちらを選ぶにせよ、最も重要なのは「レース前に試しておくこと」だ。本番で初めて使うのはリスクが高く、肌に合わなかったり、塗り方が不十分だったりすると、せっかくのレースが台無しになりかねない。練習でテストし、自分に最適な擦れ防止策を見つけてほしい。
脇擦れは、ちょっとした準備で防げるトラブルだ。この記事で紹介した塗り方や製品選びのポイントを参考に、快適なランニングを楽しんでいただきたい。
