New Balance FuelCell SuperComp Elite(以下SC Elite)は、フルマラソンでの記録更新を狙うランナー向けに開発されたトップレーシングモデルです。軽量で高い反発力が魅力ですが、一部のランナーから「かかとにマメができやすい」という声が上がっています。特に短い試走でかかとの裏側に軽度のマメができたという報告や、マラソン本番でのトラブルを心配する投稿が海外掲示板などで見られます。
かかとマメの原因は、主に以下の3点に集約されます。
アッパー後端部(ヒールカウンター付近)の素材が薄く硬めで、かかとに局所的な圧迫や摩擦が生じる
シューズ内部でかかとが上下に動く「抜け」が起こり、擦れが繰り返される
ソックスや足型との相性により、特定の部位にストレスが集中する
本記事では、SC Eliteシリーズの特徴を踏まえながら、かかとマメの具体的な原因と、レース前に実践できる対策を詳しく解説します。
New Balance メンズ FuelCell Supercomp Elite V5, タンジェリンヒート/ホワイトピーチ, 27.5 cmNew Balance
SC Eliteシリーズの特徴とかかと周りの構造
SC Eliteは、100%PEBAフォームのFuelCellミッドソールと、弓形のカーボンプレート「Energy Arc」を搭載した厚底レーシングシューズです。最新のv5では、アッパーに単層メッシュのFANTOMFITを採用し、軽量性と通気性を追求しています。
公式情報によると、v5のアッパーは「2種類の極薄素材を組み合わせ、まるでニットのような履き心地」とされています。しかし、この軽量設計がかかと周りのホールド感に影響を与えている可能性があります。v4以前のモデルでは、アッパー後端部にやや硬めの素材が使われており、これがかかとの骨(踵骨)の上部に当たって摩擦を起こすケースが報告されています。
特に注意したいのは、ヒールカップ内側の縫い目やパーツの継ぎ目です。これらの段差がかかとの皮膚を刺激し、マメの原因になることがあります。購入後は、まず手でかかと部分の内側を触り、突起や硬い部分がないか確認しましょう。
かかとマメができる3大原因
1. アッパー後端の素材と形状による圧迫
SC Eliteのアッパーは、軽量化のためにヒールカウンター(かかとを包む補強パーツ)が最小限に抑えられています。これにより、かかとの骨が直接硬い素材に当たりやすくなり、走行中の衝撃で摩擦が生じます。
特に、かかとの上方にあるアキレス腱付近のカラー(履き口)部分が硬く感じるという声があります。この部分がランニング中に足首の動きに追従せず、皮膚を擦ってしまうのです。
2. かかとの抜け(上下動)による摩擦
レーシングシューズはフィット感を優先してタイトに作られることが多いですが、SC Eliteは比較的足幅に余裕があるとの評価もあります。そのため、足の形状によってはかかとがしっかりロックされず、接地のたびに微妙に浮き上がる「かかと抜け」が発生します。
かかとが抜けると、シューズ内で足が前後に動き、かかとの皮膚が繰り返し擦れてマメができます。特に、下り坂やコーナーで力が加わった際に顕著です。
3. ソックスやインソールとの相性
薄手のレーシングソックスを使用すると、シューズと足の間のクッションが減り、摩擦が直接皮膚に伝わりやすくなります。また、インソールが滑りやすい素材の場合、足がシューズ内で動きやすくなり、マメのリスクが高まります。
レース前に試すべき5つの対策
対策1:ヒールロック(かかと固定)を徹底する
シューレースの通し方を工夫して、かかとのホールド感を高める「ヒールロック」が有効です。
1. シューレースを通常通り最後の穴まで通す
2. 同じ側の最上部の穴(通常は使わない予備穴)に外側から内側へ通し、小さな輪を作る
3. 反対側も同様に輪を作り、互いの輪にレースを通して締める
これにより、かかとがシューズにしっかり固定され、上下動を抑えられます。SC Elite v5のアッパーは薄いため、強く締めすぎると足の甲に圧迫感が出る場合があります。締め加減を調整しながら試走を繰り返してください。
対策2:かかと保護パッドやバンドエイドの活用
かかとの摩擦が気になる部分に、専用の保護パッドやバンドエイドを貼ることで、皮膚への直接的な刺激を軽減できます。
モールド型かかとパッド:シューズのかかと内側に貼り付けるタイプ。クッション性が高く、かかとの抜けも抑える。
ジェルパッド:柔らかく、骨の突出部にフィットしやすい。
バンドエイド(ハイドロコロイドタイプ):皮膚に直接貼り、摩擦を逃がす。
ただし、パッドを貼ることでシューズのフィット感が変わり、別の部位にマメができる可能性もあります。必ずレース前に試走して確認しましょう。
対策3:ソックスの選び方を見直す
ソックスは、以下のポイントを考慮して選びます。
厚手のものを選ぶ:薄すぎるソックスは摩擦をダイレクトに伝えるため、ある程度クッション性のあるモデルが安心です。
5本指ソックス:指同士の擦れも防ぎたい場合に有効ですが、かかと部分のパッドが不十分だと逆効果になることも。
ダブルソックス:薄手のインナーソックスの上にレーシングソックスを履く方法もありますが、シューズ内が窮屈にならないか注意が必要です。
対策4:シューズの慣らしとフィット調整
レース本番でいきなりSC Eliteを履くのは避け、少なくとも30km以上の試走を行いましょう。走行中に痛みや違和感があれば、以下の調整を試します。
シューレースのテンションを部分的に変える
インソールを自分の足型に合ったものに交換する
シューズを少し大きめのサイズにして、厚手のソックスで調整する
New Balance レディース FuelCell Supercomp Elite V5, タンジェリンヒート/ホワイトピーチ, 26.5 cmNew Balance
対策5:足のコンディションを整える
マメの予防には、足の皮膚を強くすることも重要です。
レース1~2週間前から、かかとに保湿クリームを塗り、皮膚の柔軟性を保つ
硬くなった角質は軽石などで優しく除去する
レース前日は、かかとにワセリンを塗って摩擦を軽減する
それでもマメができた場合の応急処置
レース中にマメができ始めたと感じたら、できるだけ早く対処します。
エイドステーションでバンドエイドをもらい、患部を保護する
ソックスを履き替える(予備ソックスを携帯する)
シューレースを緩めて、圧迫を軽減する
マメが破れてしまった場合は、感染予防のため、清潔な水で洗い流し、消毒してから保護します。レース後は、医療機関での処置を検討してください。
シューズ選びで失敗しないための確認ポイント
SC Eliteを購入する前に、以下の点を必ずチェックしましょう。
試し履きをする:ニューバランスRun Hub代々木公園など、一部店舗では試し履きサービスを実施しています。実際に走ってかかとの感触を確かめてください。
サイズ選び:レーシングシューズは通常のトレーニングシューズよりタイトに作られている場合があります。普段より0.5cm大きめを選ぶランナーもいますが、かかとが抜けやすくなるリスクもあります。必ず試着し、かかとがしっかり固定されるサイズを選びましょう。
ワイズ(足幅)の確認:SC Elite v5の公式ページでは、メンズ・ウィメンズともに幅展開が確認できます。足幅が合わないと、かかとのホールドにも影響するため、自分に合ったワイズを選ぶことが大切です。
返品・交換ポリシーの確認:購入前に、公式オンラインストアや販売店の返品規定を確認しておきましょう。未使用であれば交換可能な場合もあります。
向いているランナー・向いていないランナー
SC Eliteが向いているランナー
フルマラソンでサブ3.5~サブ3を狙う、スピード志向のランナー
ミッドフット~フォアフット着地が中心で、かかとへの負担が少ない走法の人
薄手のアッパーでもフィット感を得やすい、標準的な足幅の人
SC Eliteが向いていない可能性があるランナー
かかと着地(ヒールストライク)が強いランナー
かかとの骨が突出している、またはアキレス腱に持病がある人
過去に他社のレーシングシューズでもかかとマメが頻発した人
上記に当てはまる場合は、別のモデルも検討するか、対策を入念に行った上で使用を判断してください。
他社スーパーシューズとのかかとフィット比較
| モデル | かかとフィットの特徴 | マメのリスク |
|——–|———————-|————–|
| New Balance SC Elite v5 | 薄手アッパー、最小限のヒールカウンター。かかと抜けに注意 | やや高め |
| Nike Vaporfly 3 | パッド入りヒールカラー、比較的ホールド感が強い | 低め |
| Adidas Adios Pro 3 | ロッド式カーボン、かかと部はセル状グリップで安定 | 中程度 |
| ASICS Metaspeed Sky+ | かかと部に適度なクッション、フィット感良好 | 低め |
※上記は一般的な傾向であり、個人差があります。購入前には必ず試着を推奨します。
よくある疑問(FAQ)
Q1. SC Elite v4とv5でかかとマメのリスクに違いはありますか?
v5ではアッパーが改良され、より柔らかい素材が使われています。しかし、軽量化に伴いヒールカウンターの剛性が下がったことで、かかとの安定性が変化した可能性があります。v4でマメができた人がv5では改善したという声もあれば、その逆もあります。実際に試し履きをして感触を確かめるのが確実です。
Q2. かかとマメ防止に、シューズをワンサイズ上げるのは有効ですか?
サイズアップは、つま先の余裕が生まれる一方で、かかとが抜けやすくなるデメリットがあります。マメの原因が「圧迫」なのか「摩擦」なのかを見極めてから判断しましょう。圧迫が原因ならサイズアップが有効な場合もありますが、摩擦が原因ならかえって悪化することもあります。
Q3. レース直前でもできる対策はありますか?
レース前日までに、かかとにワセリンを塗布して皮膚を保護する方法があります。また、シューレースのヒールロックを確認し、ソックスを厚手のものに変えるだけでも効果が期待できます。ただし、新しい対策は必ず試走でテストしてから本番に臨んでください。
Q4. かかとマメが治らない場合、シューズの使用を中止すべきですか?
マメが繰り返しできる、または痛みが強い場合は、使用を中断して専門店に相談することをおすすめします。場合によっては、自分の足型に合った別のシューズを選ぶ方が、安全にレースを楽しめることもあります。
FuelCell SuperComp Pacernew balance(ニューバランス)
まとめ:事前のフィット調整でマメを防ぎ、レースに集中しよう
SC Eliteは優れた推進力を持つレーシングシューズですが、その軽量設計ゆえにかかとへの負担が大きくなる場合があります。マメの原因は、アッパーの硬さ、かかと抜け、ソックスとの相性など複合的です。
対策としては、ヒールロックによるフィット調整、保護パッドの使用、ソックスの見直し、そして十分な試走が有効です。購入前には必ず試し履きを行い、自分の足に合ったサイズとワイズを選びましょう。
レース当日に不安を残さないためにも、事前の準備をしっかりと行い、シューズの性能を最大限に引き出してください。
