かんたんスマホを親に買ってわかった、選び方のリアルと失敗談

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かんたんスマホを親に買ってわかった、選び方のリアルと失敗談
3Gの終了で慌てて探し始めた母のスマホ

昨年の春先、私は一枚のハガキを手にした65歳の母から突然の電話をもらいました。「携帯がもうすぐ使えなくなるらしいんだけど、どうすればいいの?」という内容でした。NTTドコモのFOMA回線終了を知らせる案内に、すっかり慌ててしまったのです。母は10年以上も同じ折りたたみ式のガラケーを使い続けてきた筋金入りの「ガラケー派」。機械が苦手で、ATMの操作にも緊張するような人でした。私はすぐに「スマホに変えるなら、かんたんスマホっていうのがあるよ」と伝え、一緒に機種選びを始めました。

当時の私の頭の中には「シニア向け」「簡単操作」「らくらく」といったキーワードが並び、ネットで検索すれば山ほど情報が出てきました。しかし、どれも宣伝文句ばかりが並び、実際に使った人の生の声がなかなか見つからず、正直うんざりしたのを覚えています。結局、家電量販店に母を連れて行き、実際に触ってもらいながら選ぶことにしたのです。

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店頭で触ってみた「かんたん」を謳う3台の実力

まず手に取ったのは、ドコモの「らくらくスマートフォン F-53E」でした。画面は5.4インチの有機ELで、思っていたより小さくて持ちやすい。何より印象的だったのは「らくらくタッチパネル」です。店員さんが「画面を軽く押すだけでカチッと反応するんですよ」と説明してくれて、実際に押してみると、まさに物理ボタンを押したような感触が指先に伝わってきました。タップとプッシュの両方で操作できるこの仕組みは、タッチパネルに慣れていない母にぴったりだと思い、一番の候補にすら感じました。

次に試したのが、ワイモバイルの「かんたんスマホ4」です。この機種を見た母の表情が、明らかにほっとしたものに変わったのを今でもよく覚えています。理由ははっきりしていて、画面の下に「電話」「メール」「ホーム」と書かれた物理ボタンが並んでいたからです。「これなら今までの携帯みたいに押せるじゃない」と母は言い、何度もボタンを押して感触を確かめていました。さらに私が惹かれたのは、本体横にある「押すだけサポート」ボタン。押せば自動でトラブルを診断してくれて、解決できないときはそのままオペレーターにつながるという機能で、これなら遠方に住む私が仕事中でも安心だと思いました。

その隣にはソフトバンクの「シンプルスマホ7」も展示されていました。こちらも物理ボタンがあり、通話やメールといった基本機能に特化した潔い画面構成。店員さんからは「ガラケーに一番近い使い心地です」と聞き、母も「こんなので十分なんだけどね」とつぶやいていました。ただ、私としてはLINEや地図アプリも将来的に使える方がいいだろうと考え、画面がやや小さめで機能が限定的すぎる点が少し気になったのも事実です。

実際に買って渡したところ、母の第一声は「前の方がよかった」

散々迷った末、私は「らくらくスマートフォン F-53E」を選んで母にプレゼントしました。先進のタッチ技術や画面の美しさ、サポートアプリの充実度を考えてのことでした。初期設定を済ませ、LINEもインストールして、「これでいつでも孫の写真が見られるね」と笑顔で渡したのを憶えています。

ところが、その夜から地獄の電話サポートが始まりました。最初は「画面が思うように動かない」という訴え。らくらくタッチパネルは押せば反応するはずなのに、母は軽く触れるだけの操作と押す操作を混同してしまい、アイコンをうまく開けなかったのです。次に「電話をかけたいのに画面のどこを押すのかわからない」。らくらくスマホはシンプルなホーム画面を採用しているものの、アプリの並びや設定への入り口が私の普段使うAndroidとは全く違っていました。電話越しに「画面の上の方を右から左へスワイプして」と言っても、「スワイプって何?右ってどっち?」と全く会話が成立しません。結局、週末に実家へ飛んで直接教えに行く羽目になりました。

そこで目の当たりにしたのは、母が小さく縮こまってスマホを握りしめ、「私にはやっぱり無理かもしれない」と自信を失っている姿でした。あれだけ画面を押した感触が良いと感じたはずなのに、いざ家で一人で操作するとなると、ちょっとした画面の切り替わりにも戸惑い、間違えて変な広告を表示させては慌てる。私が良かれと思って選んだ高機能な画面が、母には「怖いもの」になってしまったのです。ここで初めて、私は「簡単さ」の定義を履き違えていたことに気づきました。シニアにとっての簡単とは、操作の仕組みではなく、「いつも同じ画面で、間違えても簡単に戻れる」という安心感だったのです。

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使ううちに気づいた、本当に必要な機能と不要なもの

この失敗を経て、私は慌ててワイモバイルの「かんたんスマホ4」を追加購入しました。物理ボタンのある機種に切り替えた途端、母の困惑はほとんどなくなりました。電話をかけるときは電話ボタン、終わったらホームボタン。この動作だけはガラケーの頃から身体が覚えているため、迷わず操作できます。さらに「押すだけサポート」が大活躍し、何かあればボタン一つで解決できることは、母だけでなく私の精神的な負担も大きく下げてくれました。

ただ、それでも苦労した点はあります。一つは迷惑電話と詐欺メッセージの問題です。母は「当選しました」といった架空請求のSMSを受け取ると、怖くなって私にスクリーンショットを送ってきます。かんたんスマホ4には迷惑電話ブロック機能こそあったものの、初期状態では強力とはいえず、別途迷惑メッセージフィルターの設定が必要でした。私は休日にその設定を済ませ、ようやく一件落着。これから購入する人は、防犯・詐欺対策機能の有無だけでなく、実際にどう設定するかまでを事前に確認しておくべきだと痛感しました。

もう一つ頭を悩ませたのが、料金プランです。当初は大手キャリアのシニア向けプランにしていましたが、母はWi-Fi環境下でしか動画を見ず、外では通話が中心。データ容量はほとんど余っているのに、気づけば月額四千円近くを支払っていました。これを機に格安SIMのUQモバイルに乗り換え、シニア割引も適用したところ、月額が千九百円程度にまで下がりました。母はその差額を聞いて「こんなに違うなら、もっと早く言ってほしかった」とぼやいていました。端末代金だけでなく、月々の支払いまで含めて考えないと、親の年金暮らしには響くという現実を、身にしみて感じました。

見守りや健康機能については、母にはかなり好評でした。毎朝スマホを起動すると自動で私に「調子いいメール」が届く安心感は、離れて暮らす娘として何物にも代えがたいです。歩数計も思った以上に励みになったらしく、「今日は二千歩しか歩いてないから、ちょっとスーパーまで行ってくる」と外出のきっかけにもなっていました。健康への興味が薄かった母が、自分の歩数を気にするようになるとは、想定外の嬉しい副産物です。

結局、どんな人にどれを選ぶべきなのか

こうした失敗と発見を経て、今ならはっきりと言えます。「かんたんスマホ」選びには、明確に向き不向きがあります。

物理ボタンが必須な人には、かんたんスマホ4やシンプルスマホ7がやはり安心です。特に「通話とLINEだけでいい」という割り切りができるシニアには、機能を絞り込んだこれらの機種が驚くほどフィットします。母のように機械に対する恐怖心が強い人ほど、最初に渡すスマホは物理ボタン付きにすべきでした。

一方で、画面の美しさやカメラ機能を楽しみたい好奇心旺盛なシニアには、らくらくスマホが向いている場合もあります。大切なのは、その人の「やってみたいこと」に合わせた柔軟なサポートができるかどうかです。近くに住む家族がマンツーマンで教えられる環境なら、独自の操作画面でも問題ないでしょう。ただし、電話越しにサポートする機会が多いなら、操作感が一般的なスマホに近い機種か、少なくともサポートアプリが極めて充実したものを選ぶことを強くおすすめします。

注意点として、購入時にはサポート体制を最優先で見てください。キャリアショップが徒歩圏内にあるか、遠隔サポートが使いやすいか、電話相談は無料かどうか。これらは日々の安心に直結します。加えて、せっかくスマホを持たせるなら、自治体の補助金や公民館のスマホ教室も必ず調べてください。母も最初は嫌がっていましたが、同年代の仲間と一緒に学ぶ教室に通い始めてから、明らかに操作への苦手意識が薄れ、「今度、友達とLINE交換したのよ」と嬉しそうに話すまでになりました。

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今だったらこう選ぶ、私なりの結論

あの時、もし最初から「かんたんスマホ4」を選んでいれば、母にあれだけ辛い思いをさせずに済んだのだろうか。そう考えると胸が痛みます。結局のところ、機械が苦手な親に寄り添うとは、最新機能や性能を追いかけることではなく、「この人は何を怖がっていて、何ができたら嬉しいのか」をとことん想像することに他なりませんでした。スマホを渡すことはゴールではなく、むしろスタート。サポートする家族の負担や、親自身の気持ちの変化まで見越して、機種も料金プランも選ぶ必要があります。

だからこそ、もし今、私と同じように親のためにかんたんスマホを探している方がいるなら、こう伝えたいと思います。スペック表や店頭での一瞬の試用だけで決めず、ぜひ「サポートのしやすさ」を基準に据えてください。そして、可能なら親と一緒にスマホ教室の扉を叩いてみてください。それらの小さな積み重ねが、スマホを「怖いもの」から「毎日の相棒」に変えてくれる、と私と母の半年間の格闘が証明しています。

[紹介元] マラソン速報 かんたんスマホを親に買ってわかった、選び方のリアルと失敗談
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