私は二年前、旧コースで初めて神戸マラソンを走った。あの時は終盤の激坂に心を折られ、目標タイムを5分以上オーバー。フィニッシュ後も足がガクガクで、メリケンパークの芝生に倒れ込んだ記憶がある。だから昨年から導入された新コースの噂を聞いた時、「坂がない神戸なんて、夢みたいだ」と半信半疑だった。
結論から言うと、夢ではなかった。むしろ、想像以上に走りやすすぎて、自分のペース配分を誤るという新たな落とし穴が待っていたのだ。この記事では、2026年大会を実際に走った体験をもとに、新コースのリアルな魅力と注意点、そして出走を考えている人へのアドバイスを包み隠さず伝えたい。
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エントリー戦争、初日で7000人超えの衝撃
まず最初に言っておきたいのは、出走権を得るまでのハードルが年々上がっていることだ。私がエントリーしたのは4月17日の正午、申し込み開始と同時にアクセスした。画面が重くなるんじゃないかと冷や冷やしたが、なんとかスムーズに手続き完了。後から知ったのだが、この初日だけでフルマラソンに7242人が申し込んだらしい。前年同期の1.2倍だ。
さらに驚いたのは、申し込み開始からわずか4日で定員2万人を突破したこと。前年より2日も早いペースで、抽選への切り替えがアナウンスされた。SNSでは「もう抽選かよ」「今年も狭き門すぎる」と悲鳴が飛び交っていた。実際、過去の倍率は2024年が2.0倍、2025年が2.5倍と言われており、2026年はそれを上回る可能性が高い。私の周りでも、当選したのは3人に1人くらいの肌感覚だった。
ちなみに、どうしても走りたい人には「応援ランナー枠(ふるさと納税)」や「U30初出場枠」など、一般抽選以外のルートも用意されている。私の後輩はU30枠で2年連続出走しているので、条件に合うなら狙い目だ。
スタート前、三宮の街がランナーで埋まる
レース当日。三宮駅から市役所方面へ歩くと、ぞろぞろと人が集まっていく。コンビニで買ったおにぎりを頬張る人、ストレッチを始める人、記念写真を撮るグループ。スタートブロックは申告タイムでAからGまで分かれており、私はCブロック。旧コースの時はDブロックだったので、前回よりほんの少し前進できたことが密かな自信になっていた。
荷物預けはスムーズだった。参加費18000円のうち、手荷物預かりを外すと17000円になるオプションもあるが、11月の神戸は朝晩が冷える。着替えや防寒具は必須なので、私は預ける方を選択した。ちなみに、預け荷物用の大きな袋が事前に送られてくるので、それを忘れず持参する必要がある。会場で買えるが、長蛇の列なので注意してほしい。
午前9時、号砲。2万人の大集団がゆっくりと動き出す。スタートラインを通過するまでに、私は3分以上かかった。
新コースの衝撃、坂が「消えていた」
走り始めてまず感じたのは、とにかく海沿いが長いということだ。神戸市役所を出発し、西へ西へと進む。右側には瀬戸内海のきらめき、左側には須磨の街並みが広がる。そして明石海峡大橋が視界に入ってきた時の感動と言ったら。青空と海、巨大な橋、秋の柔らかい日差し。これだけで走る価値があると思える景色だった。
そして何より驚いたのは、本当に坂が消えていたことだ。旧コースでは須磨浦公園あたりから心臓破りの上りが始まり、それがマリンピア神戸まで断続的に続いた。今回はその区間が綺麗さっぱりカットされている。公式発表によると高低差はわずか10メートル。体感としても、ほぼフラットと言っていい。実際に私はハーフ地点を1時間43分で通過。これは自分史上、最も速いペースだった。
ランニング・マンEmilia Jones
「これは自己ベストいけるぞ」
そう思ったのが、全ての始まりだった。
28キロ、突然の異変
新コースの折り返し地点は明石市の大蔵海岸。ここでUターンし、今度は東へ向かって走る。沿道の応援は本当に温かくて、「ファイト!」「あと少し!」という声が絶えない。子どもたちの小さな手とハイタッチするだけで、脚が軽くなる気がした。給水所では地元の中学生たちが「ありがとうございます!」と元気に声をかけてくれる。このボランティアの質の高さは、神戸マラソン最大の魅力だと思う。
ところが、28キロ地点で異変が起きた。太ももの裏がピクピクし始め、続いてふくらはぎがつりそうな感覚。あ、これはまずいやつだ。慌ててペースを落としたが、時すでに遅し。30キロを過ぎると、両脚のあちこちが警告音を発し始めた。
思い当たる節はある。旧コースでは中盤の坂で自然とペースダウンし、脚への負荷が分散されていた。しかし新コースはフラットな分、ずっと同じリズムで走れてしまう。特に下りでブレーキをかける必要もなければ、上りで踏ん張る必要もない。結果として、実力以上のペースで30キロまで来てしまったのだ。これは新コースの「落とし穴」と言えるだろう。
35キロ、壁は消えていなかった
マラソンで有名な「35キロの壁」。フラットになっても、それは確かに存在していた。神戸港の倉庫群が見えるあたりで、ついに脚が動かなくなった。両足のふくらはぎが同時につり、立ち止まる。沿道のおじさんが「大丈夫か!塩なめろ!」とアメをくれた。その声に励まされ、歩いては走り、走っては歩きを繰り返す。
この区間、実は関門の閉鎖時刻が意外とタイトに設定されている。私は7時間の制限時間に対してかなり余裕があったので問題なかったが、後続のランナーはギリギリの戦いを強いられていたはずだ。関門は全部で11カ所あるので、ペースが遅くなると急に焦りが出てくる。特にファイナル関門の39.5キロ地点は要注意で、ここで涙をのむランナーを過去に何人も見てきた。
最後の力を振り絞り、神戸ハーバーランドのフィニッシュゲートに飛び込んだ。タイムは3時間39分。自己ベストを6分更新していた。旧コースでは想像もできなかったタイムだ。
この大会は誰に向いているか
実際に走って感じたのは、この新コースは「自己ベストを狙いたい人」に圧倒的に向いているということ。アップダウンに悩まされず、自分の走りに集中できるからだ。実際、私の周囲でも10分以上記録を縮めたランナーが複数いる。
一方で、初心者にもかなり優しい大会だと思う。制限時間は7時間と長めで、キロ10分程度のペースでも完走可能。沿道の応援と美しい景色が苦しさを和らげてくれるから、初マラソンとしてもおすすめできる。ただ、これだけは覚えておいてほしい。フラットだからといって、序盤から飛ばしすぎると私の二の舞になる。新コースこそ、ペース配分が命だ。
あと、コスプレランナーが多いのも神戸マラソンの特徴。今年もピカチュウやマリオ、神戸牛の着ぐるみまでいて、抜かれるたびに笑ってしまった。そういう「お祭り感」を楽しみたい人にもぴったりの大会だと思う。
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終わりに
フィニッシュ後、手渡された完走メダルを首にかけ、震える手で受け取ったアミノバイタルを飲み干した。今年のメダルも、港町らしく錨のデザインが施されていて美しい。芝生に座り込んでいると、横で同じように足を引きずるランナーが笑いながら言った。「来年も来ましょうね」。もちろん、私もそう思っている。
神戸マラソンは「感謝と友情」がテーマの大会だ。阪神・淡路大震災からの復興を応援してくれた全国への感謝を走りで表現する。今年も街全体がその温かさに包まれていた。もし迷っているなら、ぜひエントリーしてほしい。ただ、当たるかどうかは運次第。それだけが、この大会の唯一にして最大の難点だ。
