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結果速報をざっくりと振り返る
まずは2026年2月22日の結果をさらっておきたい。男子総合優勝はジブチのイブラヒム・ハッサン選手で2時間5分20秒の大会新記録。2位には昨年の覇者イフニリグ・アダン選手が2時間5分33秒で続き、3位にケニアのタヌイ選手。日本人トップは平林清澄選手(ロジスティード)が2時間6分14秒で5位に入り、見事MGC出場権を獲得した。山下、竹井選手らも続々とMGC切符を手にし、まさに高速レースの名にふさわしい展開だった。
ただし、私がリアルタイムで結果を知ったのはレース後。走っている最中は自分の脚と寒さとの戦いで、先頭集団のドラマを想像する余裕すらなかった。
エントリーからして茨の道だった
そもそも出走権を取るまでが大変だった。友人の誘いで「大阪マラソン走ろうよ」と軽い気持ちでRUNNETに登録したのはいいが、当選倍率は10倍近いとも言われる狭き門。2023年のデータでは応募者約10万人に対し出走は2.8万人ほど。しかも近年はさらに人気が高まり、チャリティ枠やふるさと納税枠に流れる人も増えている。私は運よく一般枠で当選したが、落選した仲間を何人も見送った。エントリーするなら、とにかく早めに登録して祈るしかない。
寒さは想像以上、途中で雪が舞った
スタート地点の大阪城公園に着いた朝6時、気温は4℃。予報では昼前から雪の可能性もあった。私は半袖に薄手のウインドブレーカー、アームカバーという出で立ち。ところが待機中に雨がぱらつき、風が体温を容赦なく奪っていく。スタートブロックに並ぶ前からすでに手がかじかみ、軽装を激しく後悔した。経験者のブログに書いてあった「グローブとネックウォーマーは必須」という言葉を、あのときほど思い知った瞬間はない。
号砲とともに御堂筋を南下する開放感は筆舌に尽くしがたい。ビルの谷間をランナーが埋め尽くす光景は壮観で、沿道の声援に何度も背中を押された。ところが14キロを過ぎて京セラドーム付近にさしかかると、急に風雪が強まった。気温は体感で氷点下。指先の感覚がなくなり、給水の紙コップを持つことすらおぼつかない。パワージェルをちぎろうにも、グローブ代わりの軍手がずれて開封に30秒以上かかってしまい、焦りだけが募った。
ランニング・マンEmilia Jones
25キロからの難所と「まいどエイド」の奇跡
大阪マラソンのコースは基本的にフラットと言われるが、天王寺公園を抜けてから30キロ手前にかけては、緩やかなアップダウンが意外と足にくる。25キロ地点で私はすでに脚が重く、関門閉鎖のプレッシャーとの戦いが始まっていた。ペースはキロ6分半を超え、歩くランナーも目立ち始める。そんなとき、32.8キロ付近に「まいどエイド」が忽然と現れた。
商店街の方が総出で用意したというたこ焼き、お好み焼き、コロッケ、おにぎり、温かいお汁粉。私は震える手でおにぎりを頬張り、お汁粉の甘さに涙が出そうになった。あのエリアだけ空気が違う。沿道のおばちゃんの「お兄ちゃん、えらいね!」の声に、どれだけ心が解れたか。海外ランナーが「エイドのために走る価値がある」と言うのも納得である。
40キロ手前の罠とゴールの景色
まいどエイドで奇跡的に復活したものの、40キロ付近の大阪城公園ガード下はまたもや魔物だった。下り坂を利用してスパートをかけたくなるが、実はガード下を抜けると小さな上りが待っており、ここで脚をつるランナーが後を絶たない。私も実際にふくらはぎがぴくぴくし、あと2キロを歩きそうになった。しかし沿道の「あとちょっとやで!」の声に押され、なんとかラストスパート。ゴールの大阪城が見えた瞬間、寒さも痛みも吹き飛んだ。
困った点と向いている人、注意点
実際に走って痛感したのは、冬のフルマラソンの寒さ対策が事前準備の8割を占めるということ。レース中の雪や風は当たり前で、気象条件が一気に変わる。荷物預けはスムーズだったが、完了までに1時間以上かかったというベテランランナーの話もあり、自己防衛がすべてだ。また、グローブを着けたままの補給食開封は、事前に何度も練習しておかないと本番で確実に焦る。私はこれで10分近くロスした。
この大会は、記録を狙いたい中上級者はもちろん、7時間制限のなかで「完走」の喜びを味わいたい初心者にも向いている。ただし、平坦だからといって舐めてかかると、後半のアップダウンと寒さで心が折れる。エイドの充実度や応援の温かさは国内トップクラスだから、どうせ走るなら万全の防寒と補給計画を持ち込んでほしい。
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それでもまた走りたいと思える街
ゴール後の大阪城公園で、私は震えながら配布のアルミブランケットにくるまり、無事に完走したランナー仲間とハイタッチを交わした。タイムは4時間32分。お世辞にも速くないが、雪と風の大阪を走り切った誇らしさは何にも代えがたい。結果だけを見れば3万人を超えるランナーのひとりに過ぎないけれど、一人ひとりにドラマがある。次こそはグローブを二重にし、補給食の開封練習を積んで、まいどエイドでたこ焼きをもっと味わえるよう、またエントリーするつもりだ。
