4月も終わりに近づいたある日、スマホに飛び込んできたニュースに目が止まった。「アジア大会開会式など先行分が完売」。愛知・名古屋で開かれる今秋のアジア大会、開会式のチケットはもちろん、バドミントンなど複数競技でもすでに手に入らないらしい。正直、少しだけ悔しかった。観る側にすらなれないのか、と。
だけど、その夜ふと考えた。観るより走る側になったらどうだろう。40代半ば、最後にまともに走ったのは大学時代の体育の授業だ。運動不足の腹回り、階段で息が上がる日常。このままじゃまずいとずっと思っていた。チケットがないなら、自分が動けばいい。そう決めて、ランニングを始めることにした。
ランニング ポーチ 【日本代表ランナー監修】 ウエスト バッグ 揺れない 軽量 大容量 伸縮 スマホ ボディバッグ ユニセックス ジョギング ウォーキング (2つ口, ブラック)IkucheL
最初のシューズ選びで大失敗。膝を痛めた初心者の私
最初は本当に甘かった。近所のショッピングモールに入っているスポーツ店で、セールになっていた薄底のランニングシューズを手に取った。見た目がシュッとしていて、カッコいい。値段も3000円台とお手頃。これで十分だろうと思った。
走り始めて3回目、左膝の外側に鋭い痛みが走った。いわゆるランナー膝だ。ネットで調べると、クッションの少ない薄底シューズでいきなり走り始めたのが原因らしい。ランニングでは着地のたびに体重の3倍から4倍の衝撃が片足にかかる。普段履きのスニーカー感覚で選ぶと、確実に体を壊す。私はたった10日で走れなくなった。
この失敗がなければ、今もソファでポテトチップスを食べながらアジア大会の中継を待つ側だったかもしれない。でも膝の痛みが、ちゃんと学ぼうという気にさせてくれた。
専門家に教わった「失敗しない」シューズ選びの鉄則
一念発起して、ランニング専門店を訪ねた。店員さんは現役の市民ランナーで、足のサイズ測定から丁寧に見てくれた。ここで教わった鉄則が、その後のランニング人生を変える。
まず、つま先と靴の先端の間には親指1本分、1センチほどの余裕が絶対に必要だ。走っているうちに足はむくみ、前に滑る。ぴったりサイズを選ぶと、爪が圧迫されて内出血し、悲惨な「ランナー爪」になる。私も最初のシューズで爪が黒くなりかけた口だ。
次に、初心者はとにかくクッション性と安定性を最優先すること。軽さや反発力はその次。高価なカーボンプレート入りのレーシングシューズに手を出すのは、体を鍛えてからでいい。
さらに、一足を履き潰すのではなく、できれば二足をローテーションしたほうが足への負担が分散される。学生時代の運動部みたいだけど、40代の体には必要なことだった。
この店員さんの言葉を胸に、私は三足のシューズを用途に合わせて買い、試し始めた。ここからは、実際に履いて走ってみた体験を包み隠さず書く。
ランニング・マンEmilia Jones
雲の上を走る感覚。HOKA BONDI 9で膝の痛みが消えた
最初に選んだのがHOKAのボンダイ9。見た目のボリューム感に最初は戸惑った。ソールがぶ厚くて、まるで未来の靴みたいだ。でも実際に手に取ると驚くほど軽い。メンズ28センチで300グラムを切っている。
履いて走り出した瞬間、あの膝の痛みがまったく出なかった。硬いアスファルトの上なのに、着地の衝撃がふわっと消える。例えるなら、体育館のマットの上を走っているみたいな感覚。スピードは出ないけれど、とにかく痛みなく走り続けられる。この安心感が、初心者の私には何よりありがたかった。
今では週に3回、一回5キロを気持ちよく走れている。走り終わったあとの膝の不安もゼロ。最初にこれを買っていれば、あんなに落ち込まなかったのにと思う。
ただ、一点だけ困った点がある。ソールが分厚いぶん、小石を踏んだときの感覚がまったくわからず、気づいたら靴底に石が挟まっていたことが何度かあった。あと、かかと周りのフィット感がややゆるく、急な方向転換には向かない。あくまでまっすぐ、マイペースに走る人向けだ。
向いている人は、とにかく膝や腰への不安を抱えている初心者、または故障明けでゆっくりジョグを再開したい人。逆に、タイムを詰めたい中級者以上には物足りないかもしれない。注意点としては、サイズ選びで普段よりハーフサイズ上げる人もいるので、必ず店頭で試着してほしい。
タイムが縮まる魔法?adidas ADIZERO EVO SLの衝撃
二足目は、店員さんに「少し速く走りたくなったらこれ」と勧められたアディダスのアディゼロEVO SL。カーボンプレートが入っていないのに、どうしてこんなに推進力があるのか不思議で仕方ない。
初めて履いて近所の川沿いコースを走ったとき、1キロあたりのラップタイムが普段より20秒近く速くなった。軽くて、足を置いたときの反発が気持ちいい。特に後半、疲れてきてからも足が前に出る感覚があって、初めて10キロを歩かずに走り切れたときは本当に嬉しかった。
見た目も普段履きできそうなくらいスタイリッシュで、ランニング後にそのままカフェに入っても違和感がない。これは地味に大事なポイントだ。
しかし、ここで正直に困った点も書いておく。ソールの耐久性がやや弱い。200キロも走ると、かかと外側のラバーが目に見えてすり減ってきた。あと、安定性はボンダイ9に劣るので、疲れてフォームが乱れると足首がぐらつく瞬間がある。筋力のある中級者なら問題ないが、初心者がいきなりこれで長距離を走るのはおすすめしない。
向いている人は、5キロから10キロを快適に走れるようになって、もう少しペースを上げたい人。あるいは、ハーフマラソン挑戦を考え始めた市民ランナー。注意点は、先ほど書いた耐久性と、足幅が広い人はワイドサイズを選ばないと小指が当たって痛くなること。私は実際に最初の数回、右足の小指にマメができた。
走るのが楽しくなるOn Cloudmonster 3の弾むような履き心地
三足目は、完全に「楽しさ」で選んだオンのクラウドモンスター3。店頭で試し履きしたとき、かかとからつま先へ重心が移動するときの独特な弾み方に、思わず笑ってしまった。
クッションが3層構造になっていて、ただ柔らかいだけじゃなく、前に押し出されるような推進力を感じる。走っていると自然にピッチが上がるから、気分が乗らない日でもとりあえず履けば走り出せる。その「とりあえず履いてみよう」という軽い気持ちを作ってくれるシューズだ。
デザインも好みで、ランニングウェアとのコーディネイトが楽しい。これはモチベーション維持にかなり効く。お気に入りの靴を履くために外に出る、そんな感覚だ。
困った点としては、まず値段が高めなこと。三足の中で一番高価だった。それから、ソールの隙間に小石が挟まりやすい構造で、走っているとカツカツ音が鳴って恥ずかしい思いをすることがある。自宅を出る前に、ソールの小石を取り除くのが習慣になった。
向いている人は、ランニングをもっと日常に溶け込ませたい人、飽き性でモチベーションが続かないと悩む人。反対に、タイムをガチで狙うレース志向の人には、同じオンでもカーボン入りのクラウドボームストライクなどを検討したほうがいい。
2026年秋冬、私がエントリーする市民マラソン大会
シューズが揃い、走る習慣がついてくると、自然と「大会に出たい」と思い始めた。アジア大会のチケットは買えなかったけれど、自分が参加する側になればいい。
まず手始めに、5月末の赤城山トレイルリレーマラソンに仲間とエントリーした。トレイル率100パーセントのコースで、1周約2.2キロをリレー形式でつなぐ。未経験者歓迎ということで、ハードルが低い。6月には埼玉の彩湖で開かれるランナン&モッシュ リレーマラソンにも参加予定だ。こちらは音楽フェスとマラソンが合体したような大会で、走り終わったあとにアーティストのミニライブがある。純粋に楽しめそうだ。
そして、最大の目標は11月の富山マラソンでのフルマラソン完走。まだハーフも走っていない私には挑戦しすぎかもしれない。でも、半年あればきっと届くと信じている。最初は3キロで息が上がっていた自分が、今では10キロを楽しく走れているのだから。
ランニング ポーチ 【4分割独立ポケット・2025新登場】 ランニングポーチ ウエストポーチ ランニング スマホ ジョギング ポーチ 揺れない ランニングベルト ウォーキング 超軽量コンパクト 洗濯丸洗いOK (ブラック(ポーチ単品), L)MINASETO
最後に。チケットはなくても、走れば自分が主役になれる
アジア大会の開会式チケットはたしかに完売した。でも、それをきっかけに走り始めたことで、私の日常は確かに変わった。朝の風を切って走る気持ちよさ、少しずつ距離が伸びていく達成感、そして何より、新しいシューズを試す楽しみ。
もし今、観戦できないことにがっかりしている人がいたら、ぜひ外に出て走ってみてほしい。最初は1キロでもいい。大切なのは、シューズ選びで失敗しないこと。自分の足と目的に合った一足を、ちゃんと店頭で試し履きして選ぶこと。そうすれば、ランニングは必ずあなたの味方になってくれる。
私もまだまだ初心者ランナーだ。でも、あの日ニュースを見て「走ろう」と思った自分を、心から褒めてやりたい。さて、明日もクラウドモンスターを履いて、朝の公園を走りに行こう。
