https://news.yahoo.co.jp/articles/490c0dd06eb82ab865adcabc93eb3e169ad8e5a6
【AFP=時事】サッカーフランス代表のキリアン・エムバペ選手(レアル・マドリード、27)が中国建国の指導者、毛沢東をネタにしたとみられるジョークの動画がインターネット上で拡散し、批判が集まったことを受け、中国飲料大手の東鵬飲料と乳業大手の中国蒙牛乳業は27日、同選手との協力関係を打ち切ったと相次いで発表した。
中国では、1976年に死去した毛沢東に関する冗談は不敬とみなされ、今も社会的なタブーとなっている。
東鵬飲料は声明で、「当社は国民感情を害するあらゆる行為に断固反対し、一切容認しない方針だ」と表明。「キリアン・エムバペ選手とのすべての協力関係を直ちに終了する」と続けた。
今年のサッカーW杯(ワールドカップ)北中米大会の期間中、中国ではエムバペ選手が東鵬飲料のスポーツドリンクを飲む姿を人工知能(AI)で生成した広告が頻繁に見られた。
蒙牛乳業も、エムバペ選手との関係を解消した。エムバペ選手は今回の騒動まで、中国のファンの間で絶大な人気を誇り、SNSには数百万人のフォロワーがいた。
エムバペ選手は、アニメ「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」のキャラクターになぞらえたインターネット上のミームで人気を集めたことから、「亀亀(グイグイ)」の愛称で親しまれている。
蒙牛乳業は声明で、「当社は直ちにキリアン・エムバペ選手とのすべての協力関係を終了する」と発表した。
さらに「蒙牛乳業は中国人民の感情を傷つけるいかなる言動にも断固反対し、一切容認しない」と付け加えた。
両社の発表に先立ち、エムバペ選手は動画で、自身を使ったネット上のミーム画像で最も面白かったものは、自分の顔を「中国の独裁者」の体に合成したものだと発言した。
「独裁者」は毛沢東を指すものだと受け止められた。
エムバペ選手の顔を歴史上の人物に合成したミームは複数存在する。
中国のSNS「微博(ウェイボー)」では、「東鵬飲料がエムバペとの協力関係を終了」がトレンドの首位となった。
ある微博ユーザーは、「極めて重大な誤った発言は越えてはならない一線を越えた。到底受け入れられない」と投稿した。
東鵬飲料に対し、エナジードリンクのボトルからエムバペ選手の画像を削除するよう求める声も上がった。
中国の大手サッカー専門サイト「懂球帝」は26日夜、エムバペ選手の発言は「中国と中国人民に対する侮辱」であり、「中国のサッカーファンと中国人民の感情を傷つけた」と批判した。
■中国での騒動
エムバペ選手は9月、フランスのスポーツ紙レキップのインタビューで、自身を軍事独裁者として描いた別のミームについて言及していた。
エムバペ選手は「面白い部分もある。単に楽しんでいるだけの人もいるのは分かる。でも、そうした人物が歴史を通じて引き起こしてきた被害を考えると、あまり笑えない部分もある」と語った。
さらに、「人を殺したり、何百万人もの人々に苦しみをもたらしたりした人物になぞらえられることについては、少なくとも自分は人生でそんなことをした覚えはない」と述べた。
世界的なスポーツ選手が台湾、チベット、香港などのデリケートな話題に言及し、中国で物議を醸してスポンサー契約を打ち切られた例は過去にもある。
米プロバスケットボール協会(NBA)の元選手ドワイト・ハワード氏は2023年、当時台湾の副総統で、現在は総統を務める頼清徳氏と共演した動画で台湾を「国」と呼び、中国のSNS上で激しい怒りを招いた。
中国は民主主義の台湾について、自国領土の一部だと主張し、武力行使による併合も排除していない。
また、NBAのヒューストン・ロケッツでゼネラルマネジャーを務めていたダリル・モーリー氏が2019年、香港の民主化デモを支持する投稿を当時のツイッター(現X)に行った際には、中国企業がNBAとのスポンサー契約を停止し、試合のテレビ放映を1年間中止する事態となった。
