最終話「元気に生きていてくれればいいじゃないですか」 【ジュニアゴルファーの闇に迫るルポ『ありがとうの闇CASE2』】

　ジュニアゴルファーを10年以上取材してきた中で、親からの厳しい指導が原因でゴルフをやめ、さらには親子関係まで破綻してしまうケースを見てきた。子どものためを思うあまり、過干渉になってしまう親の姿勢は果たして正しいのだろうか。

　プロゴルファー・小浦和也選手 の父も、かつては厳しい指導を続けていた。しかし、小浦選手が血液の病気を発症し、「生きていてくれさえすればいい」と考え方が変化したという。厳しい指導の中で運よく成績を残せたが、結果が伴わなければ続けられなかったかもしれないと振り返る。

　また、父親は「今ならもっとのびのび育てる」と自身の教育方法を反省。過度なプレッシャーが子どもを潰してしまうことを実感し、「技術的なことで厳しく当たるのは考え直した方がいい」と語る。

　ゴルフは努力すれば必ず結果が出るものではない。それなのに順位に一喜一憂し、子どもに強いプレッシャーをかけてしまう親の姿は少なくない。「親子関係が絶縁状態になってしまったら、親はものすごく寂しい」という言葉には、深い後悔がにじむ。

　スポーツを通じて子どもの可能性を伸ばすために、親はどうあるべきなのか。次回のシリーズでは、過干渉が生む歪みについてさらに深掘りしていく。