マラソン前日、「しっかり水分をとらなくては」と経口補水液OS-1をがぶ飲みした結果、夜中に何度もトイレに起きてしまい、ほとんど眠れなかった。そんな失敗談をネット掲示板やランニングコミュニティで見かけることがある。OS-1は脱水症のための病者用食品であり、スポーツドリンクとはナトリウムや糖質の濃度がまったく異なる。レース前日に飲むこと自体は理にかなっているが、飲み方を間違えると睡眠の質を下げ、肝心のレースで本来の力を発揮できなくなる。ここでは、OS-1をマラソン前日に取り入れる際の適量と、トイレを気にせず眠るための具体的なタイミングを、公式情報や一般的な水分補給の考え方をもとに整理する。
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結論:前日に飲むなら300mlを夕方までに。夜はちびちび水に切り替える
マラソン前日のOS-1は、一度に大量に飲まず、300mlを目安に夕方までに飲み終えるのが現実的だ。OS-1は電解質濃度が高く、体内に水分を保持する力が強いため、就寝直前に飲むと尿量が増え、夜間のトイレ回数が増える原因になりやすい。前日の水分補給の主役はあくまで水や麦茶とし、OS-1は塩分・糖質の補給として補助的に使う。どうしても夜に飲みたい場合は、50〜100ml程度を口に含む程度にとどめ、寝る1時間前には飲み終えるようにする。レース当日の朝は、スタート2〜3時間前までに200〜300mlを目安に飲み、その後は水で調整するのがセオリーだ。
OS-1とは?スポーツドリンクとの違いを知っておく
OS-1は、大塚製薬工場が製造・販売する経口補水液で、軽度から中等度の脱水症における水・電解質の補給を目的とした病者用食品である。世界保健機関(WHO)の経口補水療法の考え方に基づき、米国小児科学会の指針に沿った組成となっている。一般的なスポーツドリンクと比べると、ナトリウム(食塩相当量)が多く、糖質が少ないのが特徴だ。
| 項目 | OS-1(500mlあたり) | 一般的なスポーツドリンク(500mlあたり) |
| — | — | — |
| エネルギー | 10kcal | 約100〜125kcal |
| 炭水化物 | 2.5g | 約25〜31g |
| 食塩相当量 | 0.292g | 約0.1〜0.5g |
| カリウム | 78mg | 約20〜40mg |
| マグネシウム | 2.4mg | 0〜微量 |
| 主な用途 | 脱水症時の電解質補給 | 運動時の水分・エネルギー補給 |
表のとおり、OS-1は糖質が極めて少なく、ナトリウムとカリウムを効率よく補給できる。マラソンのように大量の汗をかく競技では、水分だけでなく塩分も失われるため、前日から適度に電解質を補給しておくことは理にかなっている。しかし、糖質が少ないため、エネルギー源としての役割は期待できない。カーボローディングは別途食事で行う必要がある。
なぜOS-1を飲むとトイレが近くなるのか
OS-1に限らず、電解質濃度の高い飲料を短時間に大量摂取すると、体内の浸透圧を調整するために水分が腸管から吸収され、血液量が一時的に増加する。その結果、腎臓での尿生成が促され、トイレが近くなる。とくにOS-1はナトリウム濃度が高いため、水だけを飲んだ場合よりも体内に水分が留まりやすい反面、一度に500mlや1Lを飲んでしまうと、過剰な水分と電解質を排出しようとして利尿作用が強く働く。
マラソン前夜は緊張や遠征先の環境変化も重なり、もともとトイレが近くなりがちだ。そこにOS-1の大量摂取が加わると、夜中に2〜3回起きるケースも珍しくない。睡眠が分断されると、疲労回復や精神的な落ち着きが損なわれ、レース当日の集中力やスタミナに悪影響を及ぼす。
前日に飲むOS-1の適量とタイムスケジュール
OS-1の1日あたりの目安量は、学童から成人で500〜1000mlとされている。しかし、これはあくまで脱水症の改善を目的とした量であり、マラソン前日のコンディショニング目的でそのまま当てはめるのは適切ではない。マラソン前日は、通常の食事や水分補給に加えて、OS-1を補助的に使うと考えるべきだ。
前日朝〜昼:通常の水分補給を中心に
起床後から昼までは、水や麦茶を中心にこまめに水分をとる。喉が渇いたと感じる前に、1〜2時間おきにコップ1杯(150〜200ml)を目安に飲む。この時間帯にOS-1を飲む必要はほとんどない。汗をかくような練習や移動をしていなければ、通常の食事に含まれる塩分で十分だ。
前日14時〜16時:OS-1を飲むならこの時間帯
どうしても前日にOS-1を飲みたい場合、最もおすすめの時間帯は午後の早い時間、具体的には14時から16時ごろだ。量は300mlを上限とし、30分〜1時間かけてゆっくり飲む。500mlペットボトルを買った場合は、半分強を目安にし、残りは翌朝にとっておく。この時間帯なら、就寝までに十分な時間があり、体内の水分バランスが整ったあと、余分な水分は就寝前に排泄されやすい。
前日18時以降:OS-1は控え、水か麦茶に切り替える
夕食後は、OS-1のような電解質濃度の高い飲料は避け、水かノンカフェインの麦茶で水分補給を行う。夕食で適度な塩分を摂取できていれば、あえてOS-1を追加する必要はない。夜に喉が渇いたら、少量の水を口に含む程度にとどめ、がぶ飲みしないことが大切だ。
寝る直前:どうしても飲みたいなら少量だけ
緊張や口の渇きが気になり、どうしても飲みたい場合は、50〜100mlを目安にし、寝る1時間前までに済ませる。OS-1ゼリー(200g)なら、ゆっくり摂取でき、液体より尿意を感じにくいという声もあるが、公式の確認はできていない。ゼリーを使う場合も、就寝直前の大量摂取は避ける。
レース当日朝のOS-1の飲み方
マラソン当日の朝は、スタート時間から逆算して計画的に水分をとる必要がある。OS-1は、胃腸への負担を考慮し、スタート2〜3時間前までに飲み終えるのが安全だ。
起床後すぐ:水または白湯で内臓を目覚めさせる
起床後はまず、常温の水か白湯をコップ1杯(150〜200ml)飲み、胃腸をゆっくり目覚めさせる。ここで冷たいOS-1を一気に飲むと、胃が驚いて腹痛や吐き気の原因になりかねない。
朝食と一緒に:OS-1は200〜300mlを目安に
朝食の時間に合わせて、OS-1を200〜300ml飲む。朝食でおにぎりやパンなどの炭水化物をとり、OS-1で電解質を補給するイメージだ。500mlを一気に飲むと、スタート前にトイレに行きたくなるだけでなく、レース中に腹痛や胃もたれを引き起こすリスクがある。
スタート1時間前以降:水だけにする
スタート1時間前を切ったら、水分補給は水だけにする。OS-1のような電解質濃度の高い飲料は、吸収に時間がかかり、スタート直後に胃がチャポチャポと波打つ原因になる。水は少量ずつ、トイレの列に並ぶ時間も考慮しながら、スタート30分前には飲み終えるのが理想だ。
OS-1をマラソン前日に使うメリットと注意点
OS-1は正しく使えば、レース前の水分・電解質バランスを整える強力な助っ人になる。一方で、使い方を間違えると、睡眠不足や胃腸トラブルにつながる。ここでは、メリットと注意点を整理する。
メリット
少量で効率的にナトリウムとカリウムを補給できる
水分の体内保持力が高く、脱水予防に役立つ
糖質が少ないため、カーボローディングの邪魔をしない
ゼリータイプなら、ゆっくり摂取できる
注意点
飲みすぎるとトイレが近くなり、睡眠を妨げる
糖質が少ないため、エネルギー補給にはならない
塩分が濃いため、味に抵抗を感じる人もいる
医師から脱水症の食事療法として指示された場合に飲むものであり、健康な人がレース前に大量に飲むことは想定されていない
高血圧や腎臓病、糖尿病などの持病がある人は、事前に医師に相談する必要がある
前日の水分補給で失敗しないためのポイント
OS-1に限らず、マラソン前日の水分補給は「飲みすぎない」「夜に濃いものを飲まない」「計画的にやめる」が鉄則だ。以下のポイントを押さえておけば、トイレに悩まされる夜を避けられる。
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1. 水分補給の主役は水や麦茶にする
前日から当日朝にかけて、基本は水か麦茶で水分をとる。OS-1はあくまで電解質補給のサポート役と割り切る。
2. 尿の色で水分量をチェックする
尿が濃い黄色なら水分不足、透明に近ければ飲みすぎのサインだ。薄いレモン色くらいが適度な水分量とされている。OS-1を飲んだあとは尿の色が薄くなりやすいが、飲みすぎの目安として意識する。
3. 夕方以降はカフェインを控える
コーヒーや緑茶、紅茶に含まれるカフェインには利尿作用がある。前日の午後以降はカフェインレスの飲み物に切り替えると、夜間のトイレ回数を減らせる。
4. 遠征先では水の硬度に注意する
海外遠征や国内でも地域によって水道水の硬度が異なる。硬水はマグネシウムを多く含み、お腹がゆるくなる原因になることがある。市販の軟水ミネラルウォーターを用意しておくと安心だ。
5. 前日から当日朝の水分補給スケジュールを立てる
おおまかなスケジュールを決めておくと、不安なく過ごせる。以下は一例だ。
| 時間帯 | 水分補給の内容 | 目安量 |
| — | — | — |
| 朝〜昼 | 水、麦茶 | 150〜200ml/1〜2時間おき |
| 14時〜16時 | OS-1(飲む場合) | 300mlを上限にゆっくり |
| 18時以降 | 水、麦茶 | 喉が渇いたら少量ずつ |
| 就寝1時間前 | 水 | 50〜100ml程度 |
| 起床直後 | 水または白湯 | 150〜200ml |
| 朝食時 | OS-1 | 200〜300ml |
| スタート1時間前以降 | 水 | 少量ずつ、30分前までに終了 |
OS-1の種類とマラソン前日におすすめのタイプ
OS-1には、液体タイプ(500ml、300ml)、ゼリータイプ(200g)、パウダータイプ(1L用、500ml用)がある。マラソン前日に使うなら、携帯性と飲みやすさから300mlのペットボトルか、ゼリータイプが扱いやすい。
液体タイプ(500ml)
最も一般的なサイズ。前日と当日で分けて飲むなら、キャップを開けずに持ち運べる。ただし、開封後は常温放置すると容器が破損する恐れがあるため、飲み残しは冷蔵庫で保管するか、当日朝に使い切る計画を立てる。
液体タイプ(300ml)
少量を手軽に飲みたいときに便利。前日の午後に1本飲み切るのにちょうどいいサイズだ。遠征先のホテルでも邪魔にならない。
ゼリータイプ(200g)
液体よりゆっくり摂取できるため、胃腸への負担が少なく、尿意を感じにくいと感じるランナーもいる。ただし、公式にそのような効果が確認されているわけではない。就寝前に少量を口にするなら、ゼリーのほうが飲みすぎを防ぎやすい。
パウダータイプ
水に溶かして使う粉末タイプ。備蓄や遠征先で必要な分だけ作れる利点があるが、前日のホテルでわざわざ作る手間を考えると、液体タイプのほうが手軽だ。
よくある疑問と回答
OS-1はスポーツドリンクで代用できる?
代用は可能だが、目的が異なる。スポーツドリンクは糖質が多く、カーボローディング中の糖質過多につながる可能性がある。また、ナトリウム量がOS-1より少ないため、電解質補給の効率では劣る。前日に電解質を重視するならOS-1、エネルギー補給を兼ねるならスポーツドリンクと使い分ける。
前日にOS-1を飲まなくても大丈夫?
まったく問題ない。普段の食事で十分な塩分と水分をとれていれば、OS-1が必須というわけではない。大事なレースだからと特別なことをしようとして、かえって体調を崩すランナーは多い。前日は普段通りの食事と水分補給を心がけ、OS-1は「念のため」程度に考えるのが無難だ。
OS-1を飲むと足がつりにくくなる?
OS-1に含まれるナトリウムやカリウムは、筋肉の収縮や神経伝達に関与しており、電解質バランスを整えることで間接的に足つり予防に役立つ可能性はある。しかし、足つりの原因は電解質不足だけでなく、疲労や筋力不足、血行不良など多岐にわたるため、OS-1だけで完全に防げるわけではない。
パウダータイプは液体タイプと同じ効果がある?
公式サイトによると、OS-1パウダーは液体タイプと同様の電解質組成で設計されており、水に溶かすことで同等の効果が期待できる。ただし、溶かし方や水の量を間違えると濃度が変わるため、説明書の通り正確に作る必要がある。
高血圧でもOS-1を飲んでいい?
OS-1はナトリウムを多く含むため、高血圧や腎臓病、心臓病などの持病がある人は、事前に医師に相談する必要がある。公式サイトでも、疾患のある人は医師の指示に従うよう明記されている。自己判断での摂取は避けるべきだ。
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まとめ:OS-1は「量」「時間帯」「飲み方」を守れば強い味方になる
マラソン前日にOS-1を取り入れるなら、300mlを目安に午後の早い時間に飲み、夜は水に切り替える。これだけでトイレに悩まされる夜を回避し、しっかり睡眠をとれる可能性が高まる。OS-1は脱水症対策として優れた製品だが、マラソン前日に限って言えば「飲まない」という選択肢も十分ありだ。普段の食事と水分補給が整っていれば、無理にOS-1を追加する必要はない。大切なのは、自分に合った方法を事前の練習で試し、レース当日に最高のコンディションでスタートラインに立つことだ。
