三十代半ば、デスクワーク中心の生活で、休日はゴロゴロしているだけの自分が、まさかフルマラソンを走るなんて想像もしていなかった。きっかけは、友人が楽しそうに完走メダルを見せてきたことと、なんとなく「このままじゃまずい」という焦りが重なったから。でも実際に飛び込んでみると、ネットに転がっている華々しい体験談の裏には、語られない失敗や苦しみが山ほどあることを思い知った。この記事では、運動音痴だった私がフルマラソンを完走するまでに経験した泥臭い現実と、そこから得た教えを包み隠さず書いていきたい。
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運動音痴の私が立てた無謀な計画
最初に選んだ大会は、制限時間がたっぷり七時間ある地方の大会だ。口コミで「平坦で給食が豊富」とあり、これなら何とかなるかもしれないと考えた。走り始めた当初、私が連続して走れた距離はせいぜい五キロ。それでもハーフマラソンの距離さえ走ったことがないのに、「半年あれば大丈夫」と軽く見ていた。まずは週三回のランニングを習慣にしようとしたが、仕事が終わると疲れてしまい、三日坊主の連続。一ヶ月目は月間走行距離が五十キロにも届かず、それなのに「来月から本気出す」と自分に言い訳していた。今思えば、この甘さが後の苦しみを生んだ。基礎体力がない初心者こそ、最初の三ヶ月は「走る生活リズム」を作るだけで精一杯だと痛感した。
練習で痛感した三つの失敗
一つ目の失敗は、シューズ選びだ。見た目のかっこよさとクッション性だけで選んだ某ブランドの厚底系シューズ。履き心地は最高で、十キロくらいまでは快適だった。しかし練習で十五キロを超え始めた頃、右足の土踏まずに鈍い痛みが出るようになった。調べてみると、私の足はもともとオーバープロネーション気味で、着地のたびに足首が内側に倒れ込みすぎていたらしい。安定性を考えたスタビリティモデルを選ぶべきところを、見栄えだけで決めてしまったのだ。結局、地元のランニングショップで足型を測定してもらい、アシックスの安定性重視の一足に買い替えた。驚くほど体のブレが減り、膝の痛みも消えた。初心者は必ず専門店で足を見てもらうべきだと言いたい。サイズは普段より一センチほど余裕を持たせると、爪が死ぬ悲劇を防げる。
二つ目の失敗は、補給を舐めていたことだ。二十キロ走の練習で、何も食べずに走り出したら、十五キロ過ぎで目の前が白み、冷や汗が止まらなくなった。コンビニに飛び込んで羊羹をかじったが、すでに手遅れ。ふらふらになりながら歩いて帰宅し、玄関で動けなくなった。フルマラソンでは約二千数百キロカロリーを消費する。一時間ごとに三十から六十グラムの糖質を摂らないと、いわゆる「ハンガーノック」に陥る。本番ではエナジージェルを十キロおきに摂ると決め、練習でも実践して胃の慣らしをした。
三つ目の失敗は、疲労のサインを無視したことだ。本番二ヶ月前、距離を伸ばすことに焦り、週末のロングランを無理にこなしたら右膝の外側に激痛。腸脛靭帯炎と診断され、十日間まったく走れなくなった。ネットの体験談にあった「たくさん走れば大丈夫」という言葉を真に受けて、休む勇気を持てなかったのが原因だ。痛みが出たらすぐ引き返す、そして週に二日は完全休養を取る。このルールを決めてから、ようやく心身ともに安定した。
ランニング・マンEmilia Jones
レース当日、三十キロの壁との格闘
スタート三時間半前に起床し、おにぎり二個とバナナで朝食を済ませた。会場に着くと、異様な熱気にのまれそうになりながらも、トイレだけは三回行って体内を空っぽにした。号砲が鳴り、最初の五キロは抑えに抑えたつもりだったが、気持ちが高ぶっていつの間にかキロ七分を切るペース。十五キロ地点ではまだ余裕があり、「意外とイケるかも」と笑っていた。
その考えは二十五キロ手前で粉々に打ち砕かれた。突然、太ももが張り、まるで鉛を巻きつけられたみたいに脚が上がらなくなる。周りを見渡すと、歩き出すランナーが増えていた。私もついに歩いた。三十キロの関門制限時間はなんとかクリアしたものの、三十五キロ地点では「もう二度と走りたくない」と心から思った。そこからは走るより歩く時間のほうが長くなり、エイドで配られていた冷凍マンゴーとプリンを流し込んで精神を保つ。給水所では立ち止まり、しっかり二杯は飲んだ。残り三キロ、沿道の「あとちょっと!」という声を聞いて、涙が出そうになりながら足を前に出した。ゴールラインをまたいだ瞬間、タイムは六時間十二分。制限時間には余裕があったが、達成感よりも「もう少しどうにかできたはずだ」という悔しさのほうが大きかった。
完走してわかった、本当に必要なこと
まず、大会選びは最も大切な準備だと断言できる。私が制限時間七時間の「しまだ大井川マラソン」を選んだからこそ、歩きを交えても制限時間に引っかからずに済んだ。六時間の大会だったら確実に収容バス行きだったと思う。初心者はタイムよりも、まず完走を目標に据えて、フラットでエイドの多い大会を選ぶべきだ。湘南国際マラソンや金沢マラソンなども評判が良い。
使って困ったことは、スマートウォッチの充電切れだ。レース中盤でバッテリー残量が赤くなり、ペース管理ができなくなって不安が増した。長いレースでは省電力モードやこまめな充電が必要。それに、ウエストポーチに詰め込んだジェルが擦れて太ももがかぶれた。携行品は最小限にし、擦れ対策のワセリンは絶対に持っていくべき。
フルマラソンに向いているのは、何より「地道な積み重ねを面倒くさがらない人」だ。才能はいらない。週に三日、たとえ三十分でも走り続けられる忍耐と、自分の体調と素直に向き合える人が最終的に笑う。逆に、本番の勢いだけでどうにかしようという人には、間違いなく三十キロの壁が牙をむく。
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まとめ:これから挑戦するあなたへ
フルマラソンは、甘くなかった。それでも、フィニッシュゲートの先で待っている景色は、練習で何度も心が折れかけた自分へのご褒美だ。厚底の誘惑に負けず、足に合ったシューズを選ぶこと。補給を怠らず、痛みを感じたら休むこと。そして、自分に合った大会を賢く選ぶこと。四十二・一九五キロは遠いけれど、一歩ずつなら必ず近づいていける。あなたの挑戦が、少しでも安全で、少しでも楽しいものになるように、私の失敗が役に立てば幸いだ。
