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北海道マラソン2026 出走記 暑さと直線を乗り越えた実の要点
エントリーは例年、先着順の争奪戦になる。2026年大会は3月31日から受付が始まり、定員2万人に達し次第、締め切りだ。参加料は16,500円。僕は一度、エントリー開始直後にサーバーが混雑して出遅れ、泣く泣く諦めたことがある。出走を決めたら、とにかく初日に申し込むのが鉄則だ。遠征組なら、東武トップツアーズなどが扱う出走権付き旅行プランも狙い目。宿泊と飛行機がセットになって、確実にスタートラインに立てる安心感は大きい。
コースの最大の特徴は、なんといっても「新川通」の往復だ。高低差が10メートルほどしかない平坦な道なのに、これが心をへし折ってくる。往路はまだいい。問題は折り返してからの約13キロだ。代わり映えしない直線がどこまでも続き、遠くに見えるはずのテレビ塔がまったく近づいてこない。初めて走った時は「本当にゴールに戻れているのか」と疑心暗鬼になり、気がつくと歩いていた。対策としては、景色ではなく自分の呼吸や腕振りのリズムに意識を集中すること。僕はこの区間だけは時計を見ず、とにかく体の動きだけを感じるようにしている。
北海道マラソンは暑さとの戦いでもある。2025年大会のスタート時の気温は23度、最高で26度近くまで上がった。数字だけ見ると大したことなさそうだが、直射日光の照り返しが予想以上に強い。アスファルトの熱が足の裏からじわじわと体力を奪っていく感覚があった。公式の暑さ対策はかなり手厚い。ミストシャワーや放水ポイント、何より前田森林公園で配られる雪には二度救われた。凍ったスポンジよりもはるかに冷たく、首筋に当てると生き返る思いがした。
僕が実際にやっている暑さ対策は、スタート前に凍らせたドリンクをボトルに入れて持ち込むこと。走り始めてすぐに飲むのではなく、10キロ過ぎまで脇や首にあてて体を冷やすのに使う。それでも体温は上がるから、エイドの水は必ず顔と手にかける。手のひらを冷やすと、不思議と全身の熱が引いていくのを感じる。失敗したのは、水分を摂りすぎてお腹がたぷたぷになり、ペースを崩したこと。喉の渇きを感じる前に一口含むくらいの感覚でちょうどいい。
僕には忘れられないリタイアの記憶がある。一昨年のことだ。夏に体調を崩して思うように走り込めず、月間100キロにも満たない練習で本番を迎えてしまった。スタート直後は気持ちよく走れていたのに、25キロあたりで左膝に痛みが走り、ペースダウン。30キロ手前の関門を通過したのは、なんと閉鎖15秒前だった。その後は気力だけで足を動かしたが、35キロ関門でついに収容バスに乗せられた。バスの窓から、ゴールしたランナーが嬉しそうにメダルを掲げる姿を見て、心底悔しかった。帰りの飛行機で固く誓ったのは、まず早寝早起きの習慣から立て直すということ。生活のリズムが走りに出ることを痛感した。
その翌年、どうしてもリベンジしたくて再エントリーした。だが、冬の積雪で思うように距離を踏めず、4月から大会までの総走行距離は、たったの250キロ。洞爺湖マラソンで30キロ走った後は、まったくロング走をやらなかった。もうダメ元で走るしかないと開き直ったら、不思議と力が抜けた。給水所では目に入ったバナナ、チョコパン、ちくわパンを片っ端から口に入れ、とにかくエネルギーを切らさないことを優先した。結果、タイムはひどいものだったが、制限時間の10分前に奇跡の完走。ゴール後、大通公園の芝生に大の字に寝転んで見た空の青さは、一生忘れられない。
遠征のたびに楽しみにしているのは、札幌の食だ。僕は福岡から参加することが多いが、前日に新千歳空港に着いたら、まずラーメンで腹ごしらえをする。空港の味噌ラーメンにバターコーンをのせて食べれば、北海道に来た実感が湧く。夜はスープカレーでカーボローディング。スパイスの香りが食欲をそそり、疲れた体に染み渡る。当日の朝食はコンビニの梅おにぎりとバナナ、それに常温のヨーグルトを決めている。遠征費は航空券とホテル代でだいたい7万円弱。これに参加費と食費を足せば、ちょっとした小旅行の予算になるが、その価値は十分にある。
宿泊は、大通公園まで徒歩圏内のホテルを選ぶのが最優先だ。朝8時半スタートとはいえ、手荷物預けやトイレの待ち時間を考えると、遅くとも7時には現地に着いていたい。僕はここ数年、札幌グランドホテルかリッチモンドホテル札幌駅前を利用している。どちらも大浴場があるから、前日のうちに湯船でしっかり筋肉をほぐせる。大会後のチェックアウト延長に対応してくれるホテルだと、ゴール後に汗を流してから空港へ向かえてありがたい。
北海道マラソンは、夏にしっかり目標を立てて走り込みたい人には向いている。適度な暑さは、秋の自己ベスト更新への良いステップになる。一方で、暑さがどうしても苦手な人や、制限時間6時間が厳しいランナーには、率直に言ってかなり難しい大会だ。給水所やエイドが充実しているからといって、練習不足のまま出ても痛い目を見るだけだと、身をもって知っている。
最後に、この大会の一番の魅力は、ゴール後に大通公園の芝生で味わう達成感だ。疲れ切った体で飲む冷えた水も、ビールも、格別としか言いようがない。「また走りたい」と思える夏の風物詩。それが北海道マラソンだ。もしエントリーを迷っているなら、まずは申し込んで、今日から一緒に準備を始めてみませんか。
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